毛血旺は重慶の「全部食べる」精神を体現する、大胆で素朴な料理。名前の通り、ハチノス(毛)と鴨血糕(血)が主役。大きな器に、柔らかい鴨血糕(絹のような鉄分豊富な珍味)、牛肉のハチノス、ランチョンミート、ハムソーセージ、もやし、時には魚の切り身や湯葉も——すべて花椒、乾燥唐辛子、豆瓣酱で味付けした深紅の唐辛子油スープに浸かっている。魅力はレイヤリングにある:冷たく絹のような血糕の食感と噛みごたえのあるハチノスのコントラスト、ランチョンミートがスパイシーな油を吸収する様。伝統的な土鍋でグツグツと熱々で提供され、グループでシェアする料理だ。
毛血旺は1940年代、重慶の歴史ある旧市街、磁器口で生まれた。川沿いのレストランの地元料理人が、余ったハチノスや血糕などの切れ端を辛いスープで煮込み、嘉陵江で働く船員たちに提供したのが始まりと言われる。この料理は大人気となり、磁器口エリアの名物料理に発展。今でも同地のシグネチャーディッシュである。